競売への応札者も少なかった。その理由は、(1)事故物件で縁起が悪い、(2)競売物件は傷もの、不良物件と思いがち、(3)どうせなら競売物件を買わずに正常市場で購入したい、(4)競売にどのように参加したらよいか裁判所の手続きがわからず、近づきがたい存在、(5)制度上不動産物件内容確認が十分にできないために、不動産の質について不安、(6)裁判所における情報の公開から入札までの時間が短すぎる、などだろう。しかし、ここには誤解もある。同じ事故物件でも、競売における「事故不動産」と自動車の「事故車両」とはまるで違うものなのである。「事故車両」は車両自体が事故に遭遇しており、車両に瑕疵がある。一方、競売の「事故物件」は持ち主(債務者)が借入金を返済しないことが原因であって、不動産自体には問題がないのがふつうである。縁起を担ぐか否かは別として、不動産が傷もの、不良物件ということは少ないのである。競売不動産に対する偏見については面白い現象が、東京と大阪の競売物件の応札者に見られる。バブル後、東京地方裁判所と大阪地方裁判所で、競売不動産を法人が落札した割合と個人が落札した割合を見ると、東京で個人落札割合のピークだった平成一〇(一九九八)年上期は三〇・九%。これに対して大阪は四四・六%だった。大阪でピークがきた平成一二年度期は、大阪で四六・五%だったのに対して東京は二二・六%と、大阪の個人落札者のほうが東京の個人落札者より一四〜二四ポイントも多い(三友システム不動産金融研究所調べ)。つまり、江戸っ子は同じ物件であっても安く買ったとか、競売物件を買ったと噂されるのを嫌がる。個人の名前で応札する代わりに、割高になってもいったん業者に買わせたあとで、業者から買い取ることで、競売物件ではないというポーズをとる。一方、浪花っ子は同じ物件を買うのならば、他人より少しでも安く買って、安く買ったことを隣近所に触れて回るのではないだろうか。
(参考サイト)
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