二つのケースにおいて、前者の「新規で事業用不動産を購入するケース」においては比較的想像がつきやすい。流通・小売業や外食業において新規店舗の出店戦略は事業の根幹であり、出店候補地を探し、その土地を取得するのか、賃借するのか(またはセールス&リースパッタなどのファイナンススキームを使うのか)、について、常日頃から戦略的な意思決定が求められている。では、後者の「すでに保有している不動産のケース」についてはどうであろうか。
[参考]
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二〇〇五年四月の減損会計の完全実施にともない、東証一部上場企業の約七割が減損処理を実施したといわれる。一部では、CRE戦略計減損会計対応と見られる向きもあり、既存の保有不動産については「当社では減損処理済みで、すでに対応できている」という企業も多い。確かに、バブル崩壊後、地価が下落の一途をたどる状況下にあっては、「事業用不動産は賃借がベース」、「できるかぎりBSを軽くしてROAを高める」ことがCREに対する企業の基本スタンスであり、「持たざる経営」が事業会社において目指すべき姿であった。よって、その場合は目の前の規制変更にさえ対応していれば、保有不動産に関しては検討・対応済み、ということができた。しかし近年、「地価の二極化」が進み、地価の上昇しているエリアにおいては「賃借することにより賃借料が上がり、むしろP/Lを傷める」リスクも発生しうる。外食産業のCRE戦略担当者にヒアリングを行うと、「長期のキャッシュフローを考え、賃借から保有に切り替えていく」という意思決定を行う企業も、徐々に増えはじめている。保有不動産が多い企業であれ、「持たざる経営」を実践する賃借メインの企業であれ、「CRE戦略とは無関係」の企業は、世の中にほとんど存在しないといえる。