私の生まれた広島には、二十世紀の悲劇の世界遺産として、原爆ドームが永久保存されている。もう一つ世界遺産として、平安時代に建てられた厳島神社が、遺跡ではなく生きた建物としていまも使われている。こうした未来に残すべき建物を身近に感じながら少年時代を過ごし、いまは最先端の技術を活用できるアーキテクトになった。では、ほんとうに千年間もつ住宅を建てるとしたらどのような姿になるか?現在の日本の街並みにはやや違和感はあるが、ずばりピラミッド=正四角錐は理想的な形だ。まず、何といっても建物の重心位置が低い。底面が広いために建物が安定しているので、地震や台風などにも耐えられる。念を入れて建物の下には揺れを吸収する免震構造を採用すれば、震度七クラスの巨大地震に対しても被害を最小限に食い止められるだろう。躯体には、錆に強いステンレス筋をつかった特殊なコンクリートを使用する。斜めになったコンクリートの壁面には、耐久性の高い石材(たとえば稲田御影石)を十センチの厚さにしてはめ込んでおく。ちょうど、厚い鎧をかぶせた構造にするわけだ。これで表面保護は完全である。また、石材の下には、厚さ二ミリのステンレス板を防水層として贅沢に用いる。開口部にはサッシやガラスをはめ込む。これはいつでも交換が可能だ。
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